どこもかしこも値上がりですね。
コロナショックやウクライナショックによる需給バランスの悪化や物流の混乱に始まり、欧米の金融引き締め（日銀の金融緩和継続）とそれに伴う円安の進行、輸入物価の上昇、電気・ガスといった光熱費の高騰。
アメリカのインフレもピークアウト傾向が期待され、財（もの）の値上がりは一段落したようにも見えますが、円安傾向はまだ続きそうな予感がありますし、サービス業の値上がりはこれからだとも言われているようです。

皆さんの生活も影響を受けていることと思いますが、もちろんこれらは動物病院経営にとっても痛手です。
経営者サイドの問題としては、物価上昇に伴う賃上げ圧力も加わってきますし、これから人手不足もさらに深刻化するでしょう。
今後も持続するであろう物価上昇、人件費上昇を考え、当院では経費削減、業務効率化に取り組むのはもちろんのこと、それに加えて
値上げをすべきかどうか実はずっとずっと悩んできました。

長らくデフレ社会に慣れてきた日本国民の間では「値上げは悪」的な風潮がどうしても拭えません。
しかし、心身ともに疲弊しながら「値上げせずに頑張る」のが本当に善なのでしょうか？それはいつまで持続可能なのでしょうか？このインフレ傾向は今をしのげば過ぎ去るものなのでしょうか？

そしてついに料金改定を決心しました。
最後に背中を押されたのは、身近な動物病院が値上げすると聞いたことと、
少しググってみたら、このところの物価上昇に伴ってけっこう値上げしている病院が多かったからです。

このたび、西湘動物病院は2017年の開院以来初めてワンちゃんネコちゃんの診察料や処置料等の料金改定に手を付けることにしました。
これまでもたびたび薬価やフードの価格上昇、検査費の上昇等があり、その都度ご請求金額に反映してきたものもありましたが（こちらでそっと吸収してきた分もありました）、今回は初となる広範囲の料金見直しです。

一律何％値上げ、とかではなく、項目によって料金が上がるケースもあれば下がるケースもあります。
が、初診料や再診料など、主要項目は値上がりするものが多いですので総額的には正直言って値上がりになる場合がほとんどでしょう。
心苦しくもご理解とご協力をお願いするばかりです。

ですが、そのいっぽうで、
今回の料金改定は、単なるコストプッシュインフレに対抗するための「ネガティブな値上げ」ではなく、
我々が提供する獣医療サービスの価値に見合うだけの料金を再考し、そしてさらに持続可能な病院の未来を見据えた「ポジティブな【見直し】」です。

これまでの診療料金は、2017年の開院前に近隣他院のホームページなどを参考にして相場を調査し、周りの顔色をうかがいながら、それらと同等か少し安く設定することで、なるべく多くの患者様に来てもらおうとして設定したのが正直なところです。
しかしそれももはや約７年前の話。細々と頼りなかった病院は着実に成長しています。
私自身当時よりさらに経験を積んでいるし、頼もしいスタッフも増え、連携も強化され、新たな機器を導入したりして、やれることもさらに増えています。
わかりやすい最近の例で言えば、動物看護師が今年から国家資格化されましたが、当院の動物看護師はパートも含め5名全員が国家試験に合格してくれました。
予約制への移行等でご迷惑をおかけしている面もあるかもしれませんが、提供できるサービスの質自体は間違いなくレベルアップしています。
私が当初から密かに目標としてきた「このあたりの地域で一番信頼できる動物病院」の座に限りなく近づいていると自負しています。

「他院で大学病院や遠方の大きな病院を紹介された患者様」や「他院で全然症状が良くならない患者様」が、当院の評判を聞きつけて来院し、「思い切ってこっちに来てみて良かった」「めぐり合えてよかった」と満足して頂けるような病院です。
信頼は患者様からだけではなく、同業者（他の動物病院の獣医さん）から手術や特殊な内科治療で紹介を受けることも少なくありません。

もちろん「近いから」という理由で来院されている方も少なくないでしょうし、「近所の獣医さん」的な立場をおろそかにするつもりはありませんが、
患者様が数ある動物病院の中から当院を選んでくださっているのは、決して「安いから」という理由ではなく、「安心できるから」「信頼できるから」「きちんと診てもらえるから」「きっと治してもらえるから」だろうと改めて思い直しました。

それができるのが西湘動物病院である（ありたい）と考えています。
それを今後も長く続けていくためには今この段階で料金改定が必要だと判断しましたが、むしろそれでもなお「安い」（または少なくとも「高くはない」）ぐらいに思っていますし、患者様からもそのように評価して頂けると信じています。
その分、スタッフ一同これまで以上に気を引き締めて、さらに貪欲に知識や技術の習得に励み、質の高い獣医療サービスを提供し続けられるよう努力します。

とは言え、大学病院や二次診療レベルに匹敵するような料金まで大幅値上げをするほどの図々しさも度胸もないし、当院をご愛顧いただいている患者様にそこまでのご迷惑をおかけするわけにもいきませんので、値上げの幅はそこそこに抑えるつもりです。
きっと驚くほどではないと思いますが、ちりも積もれば・・・でご負担をおかけすることになるのは間違いありません。
その分、各種の割引サービスや割安な代替案をご用意し、これからも模索していきますので、どうぞご利用ください。

料金改定は2023年7月20日からを予定しています。
詳細についてはまた改めて投稿します。

更新しました！　☞2023年料金改定の詳細

院長