西湘動物病院(神奈川県中郡二宮町の動物病院)

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猫の耳にできた扁平上皮癌(耳介扁平上皮癌)の初期症状と余命・進行スピード

2026.8.8 -[病気や治療について]

「猫の耳の縁にかさぶたができて、なかなか治らない……」
「病院で耳の扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)と言われたけれど、余命や治療費はどのくらいかかるの?」

二宮町や小田原市、大磯町、中井町といった西湘エリアでも、日当たりの良いお部屋やお庭でポカポカとお昼寝を楽しむ猫ちゃんの姿は、見る人をほっこりさせてくれますよね。

しかし、長年にわたって蓄積された日光(紫外線)が原因となり、耳の毛が薄い部分に悪性腫瘍である「耳介扁平上皮癌(じかいへんぺいじょうひがん)」が発生することがあります。病名に「癌」とつくと強い不安を感じられる飼い主様も多いですが、この病気は初期段階で発見し、適切に対処できれば根治を十分に目指せる病気でもあります。今回は、耳介扁平上皮癌の初期症状や進行、余命、手術費用、術後ケアまで詳しく解説いたします。

1. 猫の耳介扁平上皮癌とは?初期症状と進行速度

耳介扁平上皮癌は、皮膚の表面を覆う扁平上皮細胞ががん化する悪性腫瘍です。特に毛が薄く皮膚が直接紫外線を受けやすい耳の先端や縁(耳介)鼻先まぶたなどに好発します。

白毛の猫ちゃんや被毛の薄い部位は特に注意

メラニン色素が少ない白い猫ちゃんや、耳の毛が薄い猫ちゃんは紫外線のダメージをダイレクトに受けてしまいます。(もちろん、キジトラやハチワレなど柄のある猫ちゃんでも、耳の縁など毛が薄い部分は注意が必要です)。

見逃してはいけない初期症状の経過

最初はがんのようには見えず、皮膚炎や傷のように思えて見過ごされがちです。

  • 初期症状(超早期): 耳の先端が赤くなる、フケが出る、少し脱毛してカサカサする。
  • 中期症状: 赤みが強くなり、黒っぽい小さな「かさぶた」ができる。かさぶたが剥がれては血が出ること(出血)を何度も繰り返す。
  • 後期症状: かさぶたが広がり、皮膚が潰瘍化(えぐれる)して自壊し、耳の先端の形が崩れて欠けてくる。

2. 余命と進行について:正しく恐れるための視点

インターネット検索で「余命」という厳しい言葉を見てショックを受けられる飼い主様もいらっしゃいます。しかし、耳の先端(耳介)にできる扁平上皮癌は、他の内臓やリンパ節へ転移するスピードが比較的遅いという特徴を持っています。

段階別の余命と予後の考え方

  • 初期(腫瘍が耳の先端にとどまっている場合): 外科手術(耳介切除)でマージン(安全域)を含めて完全切除できれば、根治が可能です。この場合、癌によって命を落とすリスクは低くなり、通常の寿命を全うできるケースがほとんどです。切除手術に抵抗がある場合は、あまり一般的ではありませんが、当院ではイミキモド(ベセルナクリーム)というやや特殊な塗り薬による治療を選択する場合もあります。
  • 進行期(耳の根本や頭部にまで浸潤した場合): 完全に切り取ることが困難になり、自壊による出血や激しい痛み、二次感染から体力が奪われます。この場合の余命は数ヶ月〜半年程度となることがあり、緩和ケアが主体となります。

耳の一部を切除する手術と聞くと見た目の変化に戸惑うかもしれませんが、猫ちゃん自身は耳が短くなっても痛みや痒みから解放されれば何不自由なく快適に過ごせます。重要なのは『頭部に広がる前の初期段階で切除できるか』なのです。なお、当院では、切除するにしてもなるべく自然な形状を目指して耳介の形成を行います。

3. 手術費用と術後(エリザベスカラー)の経過

耳介扁平上皮癌の治療では、腫瘍の完全切除を目的とした「耳介切除術」が第一選択となります。

手術費用の概算目安

費用は腫瘍の進行状況や術前検査の内容によって異なりますが、総額で7万円〜15万円前後が当院での一般的な目安となります。

項目 概算費用の目安 内容
術前検査費用 約15,000円 〜 30,000円 血液検査、胸部レントゲン検査、腹部レントゲン検査、腹部超音波検査、細胞診など
麻酔・手術費用 約15,000円(ごく初期) 〜 100,000円(進行例での大規模手術) 耳介切除術、生体モニター管理、マルチモーダル鎮痛処置
入院費用 約10,000円 〜 20,000円 1泊前後(術後の経過観察・痛みの管理)
病理組織検査費用 約15,000円 外部専門機関での確定診断ならびに切除縁の確認

エリザベスカラー装着期間と注意点

術後は約2週間(抜糸完了まで)のエリザベスカラー装着が必須となります。猫ちゃんが足の爪で耳の傷口を掻きむしると、縫合が弾けて再手術になったり、重度の感染を起こしたりするためです。(逆にこの2週間さえしっかり保護できれば、その後の経過は非常に良好です)。

4. 動物病院から飼い主様へのお願い・ご家庭での具体策

紫外線対策と日常の早期発見チェックが最大の予防策です。ご家庭で今日から実践できるポイントをまとめました。

  • 日中の日光浴をコントロールする: 紫外線の強い時間帯(10時〜15時)は、窓辺のカーテンやブラインドを閉めて直射日光を避けましょう。
  • 窓ガラスにUVカットシートを貼る: 室内飼いでも窓越しにUV-A波は届きます。愛猫がお気に入りの窓辺には遮光・UVカットフィルムの施工が効果的です。
  • 耳の縁・先端のスキンシップチェック: 撫でる際に耳の先端の赤み、フケ、毛抜け、小さなかさぶたがないか観察してください。
  • スマホで写真を撮って経過を記録する: 「かさぶたが大きくなっているか」を客観的に比較できるよう、日付とともに撮影しておくと診察が大変スムーズになります。

5. よくある質問(Q&A)

Q: 猫の耳介扁平上皮癌は室内飼いでも発症しますか?

A: はい、完全室内飼いの猫ちゃんでも発症する可能性は十分にあります。
通常の窓ガラスは可視光線を通しますが、紫外線(特にUV-A)を多く透過させます。日当たりの良い窓辺で長年お昼寝を続けている猫ちゃんの場合、室内であっても紫外線のダメージが蓄積して耳介扁平上皮癌を発症することがあります。

Q: 猫の耳にかさぶたがあるのですが、病院を受診する目安はありますか?

A: 1〜2週間以上治らないかさぶたや、取れては出血を繰り返す場合は早急にご受診ください。
一般的な引っ掻き傷であれば1週間程度で自然に治癒しますが、扁平上皮癌の初期症状であるかさぶたは長期間治らず、徐々に広がっていきます。市販の軟膏などを塗って様子を見すぎず、早期に獣医師の診察を受けることが重要です。

Q: 猫の耳の一部を切除した場合、聞こえ方や日常の生活に支障は出ますか?

A: いいえ、日常生活や聴力に大きな支障が出ることはほとんどありません。
耳介(外耳)の一部を切除しても、音を集めて鼓膜へ伝える耳の穴(外耳道)の構造が保たれていれば聴力が失われるわけではありません。見た目の変化以上に、癌の激しい痛みや出血の苦しみから解放されるメリットの方がはるかに大きいです。

当院(西湘動物病院)での対応・処方薬・サポート体制

  • 迅速な院内細胞診検査: 耳の病変部から細胞を採取し、痛みを抑えつつ癌か皮膚炎かを早期診断します。(細胞診で診断がつかないケースもあります)
  • 手術以外の特殊治療法:進行状況によっては耳介切除手術を回避して、外用薬による特殊治療の選択が可能かどうか相談に応じます。
  • 痛みに配慮したマルチモーダル鎮痛: 術前から術後にかけて複数の消炎鎮痛剤を組み合わせ、術後のストレスを最小限に抑えます。
  • 必要に応じて術後の消炎鎮痛剤の処方: 粉薬やシロップ、おやつに混ぜやすい形状など、猫ちゃんの性格に合わせた投薬方法をご提案します。

6. まとめ

猫の耳介扁平上皮癌は、「ただの傷やかさぶた」と見過ごして進行させてしまうのが最も怖い病気です。しかし、初期の段階で発見し、適切な切除手術(または外用療法)を行えば、余命を縮めることなく根治を目指すことができます。

二宮町や西湘エリアにお住まいで、「愛猫の耳の端っこが赤くカサカサしている」「数週間治らないかさぶたがある」とお悩みの方は、どうぞ自己判断なさらず、いつでもお気軽に当院までご相談ください。ご家族のお気持ちに親身に寄り添い、最善の治療プランを一緒に考えてまいります。

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