犬猫におけるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)の神奈川県内発生状況について
2025.12.14 -[ブログ]
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の感染状況が拡大しています。
少し前までは「西日本に発生する病気」と考えられていましたが、もはや関東で発生しても全く驚かない状況です。
マダニに咬まれることで猫や犬、人間に病原ウイルスが感染し、最悪の場合死に至る恐ろしい病気です。
致死率は猫で60%、犬で40%前後、人間(高齢者)で30%前後とも言われています。
感染経路はマダニ咬傷からだけでなく、感染した猫や犬の体液から人間に直接感染するケースも問題視されています。
AIに関東でのSFTSの発生状況について質問してみたところ、以下のような回答が返ってきました。
関東地方では、2025年に犬猫のSFTS(重症熱性血小板減少症候群)発生例が初めて確認されました。茨城県で猫の死亡例、東京都で犬の感染例が報告されています。神奈川県ではまだ犬猫の公式発生例はありませんが、人での感染が確認されており、リスクは高まっています。
| 場所 | 動物種 | 発生状況 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 茨城県 | 猫 | 2025年6月に初の死亡例を確認 | 関東地方で初めての猫死亡例 |
| 東京都 | 犬 | 2025年9月に感染例を確認、死亡 | 都内で初めて犬の感染が報告 |
| 神奈川県 | 犬猫 | 公式な発生報告なし | 2025年7月に人で初の県内感染例あり(犬猫は未確認) |
| その他関東 | 犬猫 | 現時点で公式発生報告なし | 国立感染症研究所の調査では未確認 |
以上がAIの回答ですが、実はまだ公的な統計には含まれていないものの、獣医師会では神奈川県内での猫の事例が既に共有されていて、獣医師会員の中では当然のごとく危機感が高まっています。
2025年11月現在、県内で発生の報告があったのは、わが二宮町、そして平塚市、秦野市、だそうです。
いずれも外出自由の猫または地域猫です。
発生状況を公表することは、感染症予防の啓発に役立つ一方で、社会的・倫理的な弊害の可能性も予想されます。
たとえば、
・飼い主や地域住民への過度な不安
・外猫への差別や排除
・保護活動・譲渡活動の停滞
今回もブログで公開すべきか悩みましたが、周知されなかったがために適切な対応がなされず、人や動物の間で感染状況が悪化してしまったなら、それこそ我々の責任です。
必要以上に恐怖を煽るわけではなく、適切な情報を提供し、「正しく恐れる」ことが必要だと思います。
きちっと病気の特徴を理解すれば、飼育動物も人間も、予防策を講じることは可能です。
というわけで、動物病院の立場から飼い主様へお願いです。
・飼い猫は屋内で飼育しましょう(SFTSだけでなくエイズ・白血病や交通事故の予防のためにも)
・飼い犬・飼い猫は(できれば地域猫も)年間を通じてマダニ予防薬を投与しましょう
・屋外で体調不良の猫を見かけたら不用意に触らず、獣医師に相談しましょう
さて、当院では犬も猫も、ノミ・マダニの通年予防をお勧めしています。
全く外出しない動物に対してはマダニの予防は特に強く推奨してきませんでしたが、マダニが屋内に入り込む可能性もゼロではありません。
こういう状況ですので、改めまして全ての飼い犬・飼い猫に対して通年予防をお勧めしたいと思います。
いま使用している予防薬に何の効果があるのか覚えていない方もいらっしゃるかもしれません。
以下もご確認のうえ、ご不明な点がありましたらご相談ください。
【当院で処方しているマダニに効果のある予防薬(いずれも月一回使用)】
・内服製剤
「クレデリオ」「クレデリオプラス」「ネクスガード」「ネクスガードスペクトラ」
※「インターセプター」「パナメクチン」はフィラリア予防薬であってマダニ予防効果はありませんのでご注意下さい
・スポット製剤
「フィプロスポット」「ネクスガードキャットコンボ」
※「レボリューション」「エビクト」はノミ予防効果はありますがマダニ予防効果はありませんのでご注意下さい(「レボリューションプラス」はマダニも予防できます)
マダニ予防薬は「12か月分のまとめ買い」が最も割引率を高く設定しています。(3割引き前後)
それと「春先からはフィラリア込みのオールインワン製剤を使用している」という方向けに、
「オールインワン製剤8か月分+ノミマダニ予防薬4か月分」というセット料金
も同じぐらいの割引率に設定していますので、春先のフィラリア開始の時期にはどうぞご利用ください。

