※動物医療におけるオンライン診療に関して、獣医療を管轄する農林水産省からはいかなる指針も示されていないため、人間のオンライン診療や現行の獣医師法に基づいて判断するしかない現状です。今後の動向によっては実施可能な範囲に変更が生じるかもしれませんが、西湘動物病院では法令遵守を前提に「動物達にとって不利益が無いこと」を優先して判断していきたいと思います。

オンライン診療。
人医療の方で新型コロナをきっかけに急激にオンライン診療の実施が進んだのにならい、我々の業界でも話題が沸騰している分野です。
もともとコロナ関係なしに、オンライン診療の可能性は模索されてきましたが、コロナ禍を機に一気に議論が進んだ感じなのは、人の方でも動物の方でも一緒なのかもしれません。動物医療では人医療ほどの進展を見せているとはまだまだ言えないレベルですが・・・

そもそも当院でオンライン診療に取り組み始めたのは、withコロナの新しい生活様式が提唱されたのに従い、
できる限り人と人との接触を避けながら診療行為を続けるにはどうしたら良いか
というチャレンジの一環でした。

ですが、実際に始めてみて見えてきた、リアルな部分について今日は書きます。

 

当院のオンライン診療（オンライン相談）への導線として想定していたのは大きく分けて３通り。

１．既存患者様のうち「再診がオンラインでも事足りる」と判断されたケースにお勧めする「オンライン診療」

２．飼い主様の発熱や新型コロナ患者との濃厚接触等、来院を自粛していただくケースでやむなくお勧めする「オンライン診療」

３．インターネット経由で当院にたどりつく初診の「オンライン相談」
もともとはwithコロナにおける「１」や「２」のケースの需要を想定していました。
が、ふたを開けてみれば、これまで実施した（そんなに数多くは無いですが）中で圧倒的に多かったのが「３」です。
なかでも、セカンドオピニオン外来（オンライン相談）です。
確かにセカンドオピニオンは近くの病院である必要は無いので、「遠くても良い先生に相談したい」という需要は少なくないことが予想されます。それがオンラインで済むなら距離関係なくなるのでなおさらです。
オンラインのセカンドオピニオンは今、実現の下地が整い、今後ますます盛んになると勝手に予想しています。

「距離関係ない」とは頭ではわかってはいたのですが、驚くべきことに、
実際すでにタイ、メキシコ・・・世界各地から相談が来ています。
現地在住の日本人の飼い主様です。
現地の病院に通院していて、現地語で診療は成立しているけど、やはり心のどこかで母国語でのコミュニケーションに安心を感じるようですね。こんな需要があるとは、始めるまで気づきませんでした。
「距離関係ない」にもほどがあります。インターネットの普及で本当に便利になったものです。

これ「世界各国をターゲットにした獣医療オンライン相談ビジネス」とか本当に成り立つんじゃないかと思います。
しかし前にも書いた気がしますが、私自身がそれやっちゃうと、私が一番大事にしている地域獣医療がおろそかになってしまうのが目に見えているので、敢えてやりません。
でもビジネスチャンスは今かなとは感じています。誰かやりたい人いたらどうぞ(笑)

話それましたが、圧倒的に多いのが
３．インターネット経由で当院にたどりつく初診の「オンライン相談」

次にたまにあるのが、
２．飼い主様の発熱や新型コロナ患者との濃厚接触等、来院を自粛していただくケースでやむなくお勧めする「オンライン診療」
当院では、少し前に猫から猫への感染が証明されてから現在にいたるまで、お家の外に出てしまう猫ちゃんや、外から保護したばかりの猫ちゃんは、来院をお断りしています。
そんなケースでオンラインをお勧めしています。
今後は、飼い主様が新型コロナに感染した場合や、逆に私が感染した場合に、活用の機会があるんじゃないかと予想しています。

１．既存患者様のうち「再診がオンラインでも事足りる」と判断されたケースにお勧めする「オンライン診療」
は何件かお勧めしましたが、今のところ実施はゼロです。
緊急事態宣言中からずっと、みなさん、さほど動物病院に来るという行為に抵抗は無いようで、オンラインよりも来院されての診察を希望される方が多いです。（オンライン診療のシステム手数料やお薬の送料がかかることも影響しているかもしれません）

そんなこんなで、まだまだ始めたばかりのオンライン診療ですが、これからも新しいことに臆せずチャレンジしていきたいと思います！

院長

 

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